【書評】 破天荒フェニックス オンデーズ再生物語

久しぶりにKindleUnlimitedに再登録したので、気になってた小説を読んでみました。

「破天荒フェニックス」は実在する大手メガネチェーン店「OWNDAYS」 を巡るいわゆる、企業再生の物語。
著者は「OWNDAYS」の代表取締役社長である田中修治氏で、彼が経営破綻寸前のメガネチェーン店「オンデーズ」を買収し、再生、そして世界有数のメガネチェーン店「OWNDAYS」へと成長していく過程が描かれており、2008年1月〜2015年の約7年間の出来事を田中氏の目線で語っています。
2020年1月3日から5日の間に勝地涼さん主演でドラマ化されています。私は残念ながら見逃してしまいました、、、オンデマンドで探します、、、

あらすじ

2008年。ITベンチャー企業の社長だった田中氏は、14億円の負債を抱え、破綻寸前のメガネチェー店「オンデーズ」を買収します。

たび重なる資金ショート、信じていた仲間の裏切り、尊敬する仲間の死、リーマンショック、そして東日本大震災と、次々とやってくるな試練を乗り越えながら、持ち前の破天荒キャラを存分に発揮し、旧態依然のメガネ業界のシステムを抜本から覆していきます。仲間たちの協力のもとオンデーズを日本、そして海外にも通じるメガネチェーン店へと成長させて行きます。

所見

企業買収や企業経営をテーマにした物語ですが、法律や会計などの難しい話はほとんどありません。話の展開にスピード感があり、どんどん読み進められます。(通勤途中に少しずつ読むつもりでしたが、続きが気になって一気に読んでしまいました。)

ストーリーはいわゆる、主人公が艱難辛苦を乗り越えて成長していくという、よく言えば読み手が求める、悪くいうと「ありがち」な展開になっていますが、次々と試練を乗り越えていく様は読んでいてスッキリします。
田中氏の敵、味方含めて味のあるキャラクターが多数登場します。設定や舞台は全然違いますがどことなくワンピースの麦わら海賊団を連想してしまいました。

オススメ1 実在する組織、会社が登場。リアリティがある。

登場人物については田中氏が実名であることは確認できますが田中氏以外の登場人物については不明です。
ただ、会社名や地名は実名が数多く登場します。(全てではありませんが)そもそもの舞台になっているオンデーズという会社もそうですし、取引先の銀行にも実名の銀行が登場します。ライバル会社や取引先など実名に出来ない組織もありますが、それでも十分にリアリティがあります。

オススメ2 主人公のキャラクター

筆者であり物語の主人公である田中修治氏は、型破りな手法で幾度となくオンデーズを蘇えらせたことから、後に社員から「破天荒フェニックス」とよばれ、この物語のタイトルにもなっています。
作中では文字通りの破天荒キャラで、OWNDAYS再建のために様々なアイデアを打ち出して行きます。

オススメ3 田中氏を支える仲間たち

先にも少しふれましたが、社長である田中氏を支える多くの仲間たちの存在がポイントです。
特に田中氏の勢いに巻き込まれるようにOWNDAYSにやってきた、CFOの奥野氏の存在無くしてこの物語は語れません。奥野氏は銀行出身で会計のスペシャリスト、破天荒だけどどこか放っておけない田中氏の人柄と強い信念に共感し、沈みかけの船であったオンデーズに乗り込みます。同士であり、戦友であり時には親のような一面を見せ、本当の主人公は奥野氏なのではないかと思うほどです。その他にも田中氏を慕って個性豊かなキャラクターたちが数多く登場します。

オススメ4 ビジネスに必要なエッセンス

田中氏は経営者として、破天荒な手法で、OWNDAYSを再建へと導きましたが、彼の行動や考え方は何も経営者でなくとも実践できることがあります。大別すると以下の3つになります。

決断力

大切なのはなるべく早く決断するということです。チャンスは留まってくれません、少し時間をおいて、、、としていると次の機会にはもう他の誰かがそのチャンスを手にしているかもしれません。
田中氏はオンデーズの海外進出の際、攻めの姿勢で店舗数を拡大するか、財務状況が回復するまで静観するか、決断を迫られます。
時間が経てば条件のいい店舗物件を資金力のある同業他社が持って行ってしまう。そうなるとOWNDAYSに未来はない、、、。最終的に田中氏は店舗数拡大の決断をします。社内には反対意見もありましたが、粘り強く理解を求め全社一丸となって店推し進めます。結果、この戦略は成功し更なる成長へと突き進みます。
ビジネスは決断の繰り返しの上に成り立っています。
「コレ!」と思ったものは直ぐに決めてしまう決断力が大事です。

信頼出来るメンバーにまかせる

オンデーズに来たばかりの田中氏はメガネに関してはズブの素人でしたが、これまでに培った人脈や新たに発掘した新しい人材を積極的に採用し、重要な役割を任せます。
社運をかけたプロジェクトに抜擢された社員たちはプレッシャーと戦いながらもミッションをやり遂げ、さらに成長していきます。
また人材登用のスピードも注目です。雑談の最中に新任の商品部の部長にを抜擢したりと、よいと思ったことは即決。このあたりの流れも読んでいて気持ちがいいです。

メガネ業界の事がちょっとわかる

私もメガネっ子ですが、メガネ業界のことはよく知りませんでした。20年以上前のメガネは何万円もするのが一般的でしたが、
今メガネはレンズも込みで数千円で買えるモノが数多くありますね。
このような変化の背景には実はOWNDAYSをはじめ、メガネ産業に関わる多くの企業の戦略や、企業努力があったんです。この様なメガネ業界全体の変化や移り変わりを知ることが出来て勉強になります。

また、作中に東日本大震災のボランティア活動として被災地を回ってメガネを無料で配布する活動を行っています。私の勉強不足ではありますがこの様な活動が行われていたことを知りませんでした。「今自分達に出来ることをやろう」という発想はすばらしいと思います。

オススメじゃない1 ちょっとネタバレ

最後にお勧めじゃないポイントを一つだけ。
Kindle版だけなのかもしれませんが、冒頭に登場人物の紹介があります。物語の展開の中で裏切り者が出てくるシーンがあるのですが、その裏切り者の事が紹介されてしまっていて若干ネタバレっぽいです。